
ポルトガルの選挙、極右政党がすごく伸びたってニュース見たんだけど、一体何があったの?

そうなの!長年続いてきた二大政党の力が弱まって、政治の形がガラッと変わるかもしれないっていう、結構大きな転換点なんだよ。

新しい政権になると、観光や移住のルールが変わったりするのかな?今後の経済政策がどうなるか具体的に知りたいな。

新政権は少数与党のため政策の実行力が課題です。移民政策の厳格化や経済改革の遅延も懸念され、投資環境の不透明感が増す可能性があります。
ポルトガルで実施された総選挙の結果、中道右派の民主同盟(AD)が僅差で第1党となった一方、極右政党「シェーガ(Chega)」が議席を4倍以上に急増させる歴史的な躍進を遂げた。これにより安定した過半数政権の樹立は困難となり、ポルトガルは深刻な政治的不安定期に直面している。
ポルトガル総選挙の分析:なぜ極右は躍進したのか
既存政治への不信と生活危機が国民の不満を増幅
前政権を率いた社会党の汚職スキャンダルが解散の引き金となり、伝統的な二大政党制に対する国民の根強い不信感が噴出した。同時に、深刻な住宅危機やインフレによる生活費の高騰が市民の暮らしを圧迫し、現状への強い不満が変化を掲げる極右政党シェーガへの支持を拡大させる決定的な要因となった。
シェーガは、反移民、反エリート、汚職追放といった分かりやすいスローガンを掲げ、特に現状に不満を持つ若者や地方の有権者の支持を集めた。SNSを駆使した戦略も功を奏し、これまで政治に無関心だった層の票の受け皿となった。
選挙結果がもたらす国内政治・経済への影響
少数与党政権の誕生による政策遂行の困難さ
単独過半数を確保できなかった民主同盟(AD)は、少数与党として政権運営を担うことになる。予算案や重要法案を可決するには、議会第3党となったシェーガを含む他党との協力が不可欠であり、政局は常に不安定な状態に置かれることになる。
この政治的な不確実性は、企業の投資意欲を減退させ、経済成長の足かせとなるリスクをはらむ。特に、EU復興基金を活用した大型プロジェクトの遅延や、住宅・医療問題といった喫緊の課題への対応が滞る可能性が懸念されている。
今後の展望とポルトガルが直面する課題
新政権の舵取りとシェーガとの関係性が未来を左右する
新政権にとって当面の最優先課題は、2025年度予算案の編成と、国民の不満が大きい住宅・医療問題への具体的な対策を打ち出すことである。その過程で、民主同盟がシェーガと協力するのか、あるいは対決するのか、その政治的判断が今後のポルトガルの方向性を決定づける。
欧州全体で右派勢力が影響力を増す中、ポルトガルの事例は他国にも大きな示唆を与える。極右の台頭による社会の分断を乗り越え、いかにして安定した政治と持続可能な経済を再建できるか、新政権には極めて難しい舵取りが求められている。