
トカラ列島の地震、プレート境界が原因なんですね。

だから頻発するんだ。備えが運命を分けるそうです。

家具の固定や非常袋、すぐ見直さないと。

地域の助け合い、共助も大切みたいですよ。
私たちの足元で大地が揺れる、その瞬間。当たり前だった日常は一瞬にして緊張と不安に包まれます。2025年6月24日の午後、鹿児島県のトカラ列島近海で発生した地震は、多くの人々にその事実を改めて突きつけました。
この日観測された地震では、十島村の悪石島で最大震度4を記録。マグニチュードは5.0と推定され、幸いにも津波の心配はありませんでした。しかし、この地域では以前から地震が頻発しており、決して他人事ではありません。
地震は、日本に住む私たちにとって避けては通れない自然災害です。だからこそ、そのメカニズムを正しく理解し、万全の備えをしておく必要があります。この記事では、今回の地震の詳細を振り返るとともに、近年活発化するトカラ列島近海の地震活動、そして私たち一人ひとりが今すぐ始めるべき防災対策について、深く掘り下げていきます。
24日の地震の詳細と、トカラ列島近海の地震活動

まずは、2025年6月24日に発生した地震の情報を整理してみましょう。気象庁の発表によると、地震が発生したのは午後4時4分頃。震源地はトカラ列島近海で、震源の深さは約20kmとされています。
この地震により、鹿児島県十島村の悪石島で最大震度4を観測しました。震度4というと、多くの人が揺れに驚き、家の中にいても電灯などの吊り下げ物が大きく揺れ、棚にある食器類が音を立てるレベルです。眠っている人のほとんどが目を覚ますほどの揺れであり、不安を感じた方も少なくなかったでしょう。
地震の規模を示すマグニチュードは5.0と推定されています。これは中規模の地震に分類され、震源が浅い場合には局地的に強い揺れを引き起こすことがあります。幸い、今回の地震による津波の発生はありませんでした。
活発化するトカラ列島の群発地震
実は、今回の地震は単発のものではありません。トカラ列島近海では、この数年前から地震活動が活発な状態が続いています。今回の地震のわずか2日前、6月22日にも同じく悪石島などで震度3を観測する地震が複数回発生していました。
さらに遡ると、2024年にも震度4を含む地震が頻発しており、この地域がいかに地震の多い場所であるかがわかります。短期間に特定の場所で地震が集中して発生する現象は「群発地震」と呼ばれ、トカラ列島近海はその典型的なエリアの一つなのです。

でも、どうしてこの場所でだけ、こんなに地震が頻繁に起こるの?

良い質問ですね。トカラ列島は、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいる、まさにプレート境界に位置しているんです。
地球の表面は、いくつかの硬い岩盤(プレート)で覆われています。このプレートがぶつかり合ったり、片方がもう一方の下に沈み込んだりする場所では、非常に大きなエネルギーが蓄積されます。そのエネルギーが限界に達して一気に解放されることで、地震が発生するのです。
トカラ列島近海は、まさにこのプレートの活動が活発な最前線。そのため、地殻にひずみがたまりやすく、大小さまざまな地震が頻繁に発生する、日本でも有数の地震多発地帯となっているわけです。
私たちが地震に対してできること

地震の発生を止めることはできません。しかし、正しい知識と事前の備えがあれば、その被害を最小限に食い止めることは可能です。地震は「いつか来る」ものではなく、「いつでも来る」もの。そう捉え、日頃から万全の対策を講じておくことが、あなたとあなたの大切な人の命を守ることに繋がります。
地震対策の基本は、「事前の備え」と「発生時の適切な行動」の二つに集約されます。どちらか一方だけでは不十分。両方をしっかりと実践することが極めて重要です。
では、具体的にどのような準備や行動が必要なのでしょうか。ここでは「事前」「発生時」「避難生活」の3つのフェーズに分けて、具体的な対策を見ていきましょう。
フェーズ1:事前の備え
地震による被害を減らすために最も効果的なのが、この「事前の備え」です。揺れが来る前に、どれだけ準備できているかが運命を分けます。
家具の固定と配置の見直し
地震で命を落としたり、大怪我をしたりする原因の多くは、家具の転倒や落下によるものです。まずは家の中の安全を確保しましょう。
背の高いタンスや本棚、食器棚などは、L字金具や突っ張り棒で壁にしっかりと固定します。また、寝室や子供部屋には、できるだけ背の高い家具を置かない、倒れてきても大丈夫な位置にベッドを配置するなどの工夫も有効だ。
非常用持ち出し袋の準備
避難が必要になった際に、最低限必要なものをまとめた「非常用持ち出し袋」。すぐに持ち出せるよう、玄関や寝室など、わかりやすい場所に置いておきましょう。

非常用持ち出し袋って、具体的に何を入れておけば安心なのかな?

最低限、飲料水、非常食、携帯ラジオ、懐中電灯、医薬品、貴重品は必須です。その他、モバイルバッテリーや衛生用品、下着なども忘れずに。
中身は定期的にチェックし、食品や飲料水の賞味期限、医薬品の使用期限を確認することも忘れないでください。家族構成に合わせて、粉ミルクやおむつ、常備薬などを追加することも大切です。
避難経路と連絡手段の確認
いざという時に慌てないよう、自宅から避難場所までの安全なルートを複数確認しておきましょう。家族で実際に歩いてみるのも良い訓練になります。
また、災害時には電話が繋がりにくくなることが想定されます。災害用伝言ダイヤル(171)やSNSなど、災害時の安否確認方法を家族で事前に話し合っておくことが重要です。
フェーズ2:地震発生時の行動
強い揺れを感じたその瞬間、パニックにならず冷静に行動できるかどうかで、その後の状況が大きく変わります。
まずは「身の安全を確保する」ことが最優先です。頑丈な机の下に隠れる、物が落ちてこない・倒れてこない場所に移動するなどして、頭部をしっかりと守りましょう。屋外にいる場合は、ブロック塀や自動販売機、ガラス窓などから離れてください。
揺れが収まったら、火の始末を。調理中であれば火を消し、ストーブなども消しましょう。避難する際にはブレーカーを落とすことも、通電火災を防ぐために有効です。
窓やドアを開けて避難路を確保し、デマに惑わされず、ラジオやスマートフォンなどで正確な情報を収集しながら、落ち着いて行動してください。
フェーズ3:避難生活での注意点
自宅での生活が困難になり、避難所での生活を余儀なくされる場合もあります。避難所は多くの人が集まる共同生活の場。お互いに協力し、助け合う気持ちが大切です。
特に注意したいのが衛生管理と健康管理です。断水などで手洗いが十分にできない状況では、感染症が広がりやすくなります。ウェットティッシュやアルコール消毒液を活用し、清潔を保ちましょう。
また、慣れない環境での生活は、心身ともに大きなストレスがかかります。エコノミークラス症候群を防ぐために適度な運動を心がけたり、不安な気持ちを一人で抱え込まず、家族や周りの人と話したりすることも、心の健康を保つ上で非常に重要です。
地域社会と連携した防災対策

個人の備えはもちろん重要ですが、大災害に立ち向かうためには、それだけでは限界があります。自分たちの住む地域全体で防災意識を高め、いざという時に助け合える体制を築いておくこと。これこそが、防災の最終目標と言えるでしょう。

自分一人で備えるのは、なんだか心細い気もする…。

その通りです。だからこそ、「共助」、つまり地域での助け合いが不可欠なのです。ご近所さんと声を掛け合うだけでも、立派な防災活動ですよ。
地域社会で取り組める防災対策には、様々なものがあります。
例えば、地域ぐるみでの防災訓練への参加は非常に有効です。消火訓練や救助訓練、避難所運営訓練などを体験することで、災害時の具体的な動き方が身につきます。顔見知りが増えれば、いざという時の助け合いもスムーズになるはずだ。
また、地域の自治会や町内会が中心となり、地域の特性に合わせた防災計画を策定し、情報を共有することも重要です。高齢者や障害を持つ方など、災害時に手助けが必要な人を事前に把握し、支援体制を整えておく「要配慮者支援」の取り組みも欠かせません。
最近では、AIによる被害予測や、SNSを活用した迅速な情報伝達など、最新技術を防災に活かす動きも広がっています。こうした新しいツールも積極的に活用しながら、地域全体の防災力を高めていく視点が、これからの時代には求められています。
揺るぎない備えと、未来への希望
今回、鹿児島県のトカラ列島近海で発生した一連の地震は、私たちに自然の力の大きさと、地震への備えの重要性を改めて教えてくれました。揺れ続ける大地の上で暮らす私たちにとって、防災は特別なことではなく、日々の生活の一部として取り組むべき課題です。
この記事で紹介した対策は、決して難しいものではありません。家具を一つ固定すること、家族で避難場所を確認すること、近所の人と挨拶を交わすこと。そんな小さな一歩の積み重ねが、大きな安心に繋がっていきます。
災害はいつどこで起こるかわかりません。しかし、私たちの揺るぎない備えと、人と人との繋がりがあれば、どんな困難も乗り越えていけるはずです。今回の地震を教訓とし、一人ひとりが防災意識を高めることが、安全な未来を築くための最も確かな礎となるでしょう。
被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い平穏な日々の回復を願ってやみません。
参考リンク